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コラム

メタバースのPlay(遊ぶ)からEarn(稼ぐ)への歴史

メタバースとは、インターネットにつながった3次元のバーチャル空間でVR、AR、MRなどの技術を活用して複数のユーザーが楽しめる世界です。この言葉は小説『スノウ・クラッシュ(1992)』で有名になりました。

2021年10月にFacebookがMetaに社名を変更したように、企業のメタバースに対する関心が高まっており、次世代のSNSとして期待されています。本記事では、代表的なメタバースを一覧にして論点を整理します。

メタバース一覧をカテゴリ別に整理した図が以下になります。

※Crypto、Non-Cryptoは暗号資産・ブロックチェーン要素の有無が違い

これから各メタバースについて概要を紹介します。

① Game×non-Crypto

①のタイプは現在のメタバースの始祖となっています。特にSecond Lifeは現在のメタバースにかなり近しい像を2003年から実現していましたが、当時は時期尚早すぎたのかあまり注目されることはありませんでした。このタイプの発展系がFortniteであり、メタバースの代表格になっています。

Ultima online(1997)

Ultima online(ウルティマ・オンライン)は、MMO(多人数同時接続) RPGとして1997年にリリースされ、25年たった今でも米国で運営が続けられているメタバースの元祖とも呼べるオンラインゲームです。

メタバースの本質が社会性を持つバーチャル空間だとしたら、1997年時点においてすでにUltima onlineはメタバースとしての性質を帯びていたと考えられ、後続のゲームに多大な影響を与えました。

当時は一部のギークたちがプレイするにとどまりましたが、これはメタバースのCX(顧客体験)が技術的制約により限定されていたからでしょう。

Second Life(2003)

Second Life(セカンドライフ)は、米Linden Labが2003年より運営する3DCGで構成されたメタバースとして最も古い歴史を持つオンラインゲームのひとつです。

Second Lifeのユーザーは、仮想世界にあるすべてのモノ(土地、建物、景観など)を自由自在に作成、販売、譲渡することができ、社会生活を営むことができます。

リリースから約20年のときを経て、近年再び注目を集めており、月間アクティブユーザー数はおよそ100万人にもなります。

Fortnite(2017)

Fortnite(フォートナイト)は、Epic Gamesが販売・配信する、2017年に公開されたオンラインゲームです。登録者数は3億5,000万以上と全世界で圧倒的支持を受けています。

 クラフト要素のあるサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)であり、PvE(Player Versus Environment)やバトルロイヤル、サンドボックスといった異なるゲームモードを提供しています。

日本からはアーティストの米津玄師がFortniteで音楽ライブを行うなど、戦闘ゲームではなくソーシャルな要素を含んだメタバースになっていることが特徴です。

 

 

② Social×non-Crypto

②のタイプは①のタイプよりSNSに近いイメージです。サンドボックス的なニュアンスは①から引き継ぎつつ、クリプトとの接点は今のところあまりありません。

Minecraft(2011)

Minecraft(マインクラフト)は、世界観を自由にカスタマイズできるサンドボックスビデオゲームの中で古い歴史を持ち、累計売上本数は2億3,800万本以上です。

サンドボックス型ゲームの特徴として、特定の目標がないことが挙げられます。そのためユーザーたちは自分たちで環境を作り、好きに遊ぶことができます。

Minecraftでは、VR ChatやClusterとは異なり、プレイヤーはVR空間ではなく従来の二次元空間に存在しています。

VR chat(2014)

VR Chat(VRチャット)は米VRChat Inc.に運営されているソーシャルVRプラットフォームです。プレイヤーは自身の分身であるアバターとなり、さまざまなワールドで他のプレイヤーとのコミュニケーションを楽しむことができます。

VR chatのポイントは、アバターとワールドのカスタマイズ自由度の高さです。プレイヤーは自分たちが楽しむためにアバターのコスチュームを変更したり、ワールドで遊べるゲームを開発したりします。このようなVR Chatの様相を「カオス(混沌)」と表現する人もいます。

企業の出展が盛んなのもVR Chatの特徴のひとつです。これまで、KDDIやディズニー、テレビ東京、松坂屋百貨店などが、VR Chatに出展しています。株式会社HIKKY主催の「Virtual Market」は、1100超の個人、70社超の法人が出展しました。

Cluster(2017)

Cluster(クラスター)は、クラスター株式会社が開発・運営する日本発のメタバースプラットフォームです。「バーチャル渋谷」や「バーチャル原宿」で一躍有名になりました。

Clusterは、日本版VR Chatだと考えればいいでしょう。各プレイヤーが自分たちの好きなアバターでさまざまなワールドでコミュニケーションを楽しみます。VR Chatに言葉の壁を感じる人はClusterを訪れてもいいかもしれません。

Clusterの特徴は、音楽ライブやカンファレンスなどのイベント開催に強みがある点です。これから日本の企業がいろいろな形でClusterでイベントを開催していくことになるでしょう。

③ Social×Crypto

メタバースがPlayの場からEarnの場へと姿を変えつつあるのが③のタイプからです。The Sandboxを筆頭に各メタバース内においてネイティブトークンによるNFTの販売がされています。

The sandbox(2012)

The Sandbox(ザ・サンドボックス)とはEthereumのブロックチェーン技術を基盤としたユーザー主導のゲームプラットフォームです。

ユーザーは仮想のLAND(土地)を購入・レンタルすることで、オリジナルのゲームやアイテム、キャラクターやサービスを作成することができます。ゲーム内ではネイティブトークンであるSANDを使えます。

2012年からサンドボックスゲームとして開発が進められていて、2018年にブロックチェーン技術を導入して、ゲーム内でプレイヤーがマネタイズできるメカニズムを構想しました。

Decentraland(2017)

Decentraland(ディセントラランド)は、Ethereumブロックチェーンで構築したVR空間です。

仕組みは、The Sandboxとよく似ており仮想のLAND(土地)を購入・レンタルすることでゲームを楽しんだりアイテムを売買できます。LANDはすべてEthereumブロックチェーン上で管理されています。

ネイティブトークンのMANAは、ゲーム内の通貨として利用することが可能です。

Cryptovoxels(2020)

Cryptovoxels(クリプトボクセルズ)は、NZのNolan Consulting LimitedのオーナーBen Nolan氏が中心になり開発を進めるEthereumを利用した3D仮想世界です。

Cryptovoxelsでは、土地や建物、アイテムをNFTとして購入・保有することができ、自由に空間をカスタマイズすることができます。

基本的なアイディアはDecentralandと似ていますが、Cryptovoxelsのほうがよりニッチな分野の世界観を表現するのに使われる印象があります。

④ Game×Crypto

③のタイプのEarnの性質を引き継ぎながら、コンシューマーゲームとして一般層まで普及したAXIE INFINITYが代表的なのが④のタイプです。今後はこの④のタイプが増えていくでしょう。

My Crypto Heroes(2018)

My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)は、Ethreumチェーン上に構築された日本発のブロックチェーンゲームです。 DappRadar によると、2019年8月にブロックチェーンゲームとしてユーザー数とトランザクション数で世界No.1を記録しています。

My Crypto Heroesでは、世界中の歴史上の偉人がヒーローアセットとして登場、他のプレイヤーと対戦したり、クエストを攻略します。ゲーム内のヒーローやアイテム、土地は全てNFTであり、Openseaなどの市場で売買することが可能です。

My Crypto Heroesのエコシステムには「士農工商」それぞれのロールが存在しており、NFTを採掘したり、アイテムを作成したり、GUM(ゲーム内通貨)を稼いだり、大会に出場したりします。日本発のプロジェクトとしては、世界での認知度も高く今後の発展に期待できるプロジェクトです。

Axie Infinity(2019)

AXIE INFINITY(アクシー・インフィニティ)は、アクシーと呼ばれる架空の生物を収集、育成・繁殖、対戦(バトル)させるブロックチェーンゲームです。

AXIE INFINITY上のアクシーは、NFTであるため、市場で売買することが可能です。もちろん、高値でアクシーを売却するためには、ゲーム内でアクシーを育成し繁殖させて価値を高める必要があります。またユーザーは、ゲーム内の対戦で勝利するとSLP(Smooth Love Portion)というトークンを獲得できます。SLPは、暗号資産取引所で取引されており、売却可能です。

AXIE INFINITYは、「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」のモデルを確立したことが最大の特徴です。実際に、AXIE INFINITYで遊ぶことで生計を立てているプレイヤーも存在します。

まとめ:メタバースはPlayからEarnへ

本記事の①から④のタイプへと時代の変遷をたどってみると、メタバースはPlayからEarnへ軸足を移しつつあることがうかがえます。中長期的にはマネタイズが見えやすいため、③と④のタイプに企業からの参入が相次ぐでしょう。

とはいえ、2022年5月時点で最も盛んなメタバースは①と②の領域にあります。しかし、クリプトの普及に従いこの勢力図も変わっていくと予想できます。

 

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