エアドロップとは、直訳すると “空中投下”。クリプト業界でいうエアドロップもまさにそのイメージで、“暗号資産(仮想通貨)やトークンを無料で手に入れることができるイベント” をいいます。
それでは、暗号資産やトークンを無料配布することに一体どのような意味があるのでしょうか? 本記事では、エアドロップの概要や参加条件、参加する際に気を付けなければいけないこと等について解説します。
エアドロップとは、マーケティング戦略の一つです。
新規プロジェクトを成功へと導くためには、プロジェクト自体とそのプロジェクトが発行する暗号資産やトークンに対する知名度や関心を高める必要があります。
多くの人は、“無料” という言葉に弱いのではないでしょうか。「無料で〇〇プレゼント!」という文字を見たら、まず「何が貰えるのだろう」「どうやったら貰えるのだろう」と関心を抱くのではないでしょうか。エアドロップはこの原理を用いたマーケティング戦略です。
エアドロップは、指定された条件を満たすことで、リリース直後の暗号資産やトークンを無料で受け取ることができるイベントで、その暗号資産やトークンは知名度の向上とともに価値を上昇させていく傾向にあるため、後に大きな利益を生み出す可能性を秘めています。プロジェクトの知名度の向上と投資家の収益の増大を目的としたマーケティング戦略です。
それでは、エアドロップ時に指定される条件とはどのようなものでしょうか。
指定される条件は各プロジェクトによって様々ですが、比較的ハードルの低い条件が多いです。代表的な条件の例としては以下が挙げられます。
この条件は、最も多くのプロジェクトで設定される条件です。
暗号資産を一時的に多くの人に保有してもらうことで価格の上昇を図る方法。
「スナップショット」と呼ばれるタイミングに、指定された量の対象通貨を保有するだけで新たなトークンの配布対象となる条件です。プロジェクト側が設定した日時に対象通貨を保有しておくと、保有している証明として自動的にスナップショットが撮影される仕組みです。
価格の上昇は話題になり、知名度の向上にも繋がります。
特定の投稿をリツイート、公式アカウントをフォロー、Telegramからの参加等を条件として知名度の向上・コミュニティの拡大を図る方法。
Twitter/Instagramで公式アカウントをフォロー、特定の投稿をいいね・リツイート、指定されたテンプレートに沿って投稿をするといったタスクが課せられます。
Telegramは、セキュリティ機能が充実したメッセージングアプリです。世界的に見るとかなり普及しており、LINEよりユーザー数が多いですが、国内で見ると一部のクリプト業界でしか普及していません。
そのため、上記①に比べると少し抵抗があるかもしれませんが、難しい作業は要求されません。以下に、Telegramから参加し、タスクを完了する際の簡単な流れを紹介しますので参考にしてみてください。(あくまで一例ですので、プロジェクトにより文章やタスクは異なります。)
SNS中心のこの時代、電車の広告に打ち出したり、口コミで知名度向上を図るより、エアドロップを行う方がより早く、より多くの人々に認知されることが期待できます。
国内での事例は少ないですが、海外で多く見られる事例です。
事前発表がないものが多く、過去に一度でも取引したことがある人、又は一定以上の取引をしたことがある人に対して、エアドロップされるケースです。つまり、知らないうちにエアドロップの条件をクリアしていた、という形になります。
エアドロップの参加条件は、上記で紹介した例以外にも多数存在します。参加する際は、サイトやTwitter等で概要や手順を調べてから参加しましょう。
エアドロップにはメリットばかりではなくデメリットも存在します。それぞれについて説明します。
暗号資産やトークンは、知名度が高まり投資家が増えるとともに価格が上昇します。エアドロップで知名度を上げることで、無料配布された暗号資産やトークンの価格が上昇することが期待できます。特に、取引所に上場した際には価格が大きく高騰する可能性があります。
無料だからといって手当たり次第、参加するのは危険です。エアドロップを発表するプロジェクトのなかには、詐欺も存在するため要注意です。エアドロップの参加条件として、個人情報やウォレットのパスワードを入力させ、悪用する人もいますので、ちゃんとしたプロジェクトか、教えていい情報かを必ず確認する必要があります。
エアドロップで獲得した暗号資産が既に取引所に上場しており、市場価値がついている場合は、暗号資産を受け取った時点で「雑所得」として課税対象となります。暗号資産で20万円以上の利益を得た会社員の方(主婦や学生等扶養されている方は33万円以上)は、確定申告が必要となります。
エアドロップ開催の情報をいち早く入手する方法としては、以下が挙げられます。
Twitter/Telegram/取引所の公式サイト/企業運営の仮想通貨サイト/個人の仮想通貨ブログ/YouTube
特に、Twitterではタイムリーに情報収集することができます。また、海外発のプロジェクトのエアドロップ情報も入手したい場合は、TelegramやDiscordにも積極的に参加することをお勧めします。Discordは、Telegram同様、国内ではクリプト業界でしかあまり普及していませんが、コミュニティ運営にも適した「コミュニケーションツール」です。
BAYCはYuga Labsが発行する猿をモチーフにしたNFT(Non-Fungible Token)コレクションです。BAYCは莫大な人気を博し、BAYCから派生する形で「Mutant Ape Yacht Club(MAYC)」、「Bored Ape Kennel Club(BAKC)」の2つのNFTコレクションが誕生しました。
MAYCは、BAYCの猿をミュータント化させたNFTコレクションです。BAYC保有者を対象に、「Mutant Serum」と呼ばれる突然変異を起こすアイテムがエアドロップされ、BAYCに使用することで新たなMAYCのNFTを獲得することができました。
2022年現在時点で、MAYCの最高売却額は350ETH(約1億4000万円)です。エアドロップで手に入れたNFTがここまでの額になるとは夢がありますよね。
BAKCは、柴犬のような犬(Kennel)のNFTコレクションで、沼地で孤独に生活するBored Apeのペットとして登場しました。BAKCもBAYCの保有者にエアドロップされました。
2022年現在時点で、BAKCの最高売却額は626ETH(約2億7000万円)です。
関連記事:NFTの可能性について
トロン(TRX)は、2017年9月にH.E.Justin Sun氏によって設立されたTRONが発行する暗号資産で、2021年6月~2023年6月までの2年間にわたって毎月10日に計25回スナップショットを取得し、APENFT(NFT)総供給量の5%を無料配布するエアドロップを実施しています。
TRXは、国内取引所ではHuobi JapanとBITPOINTで入手可能です。
LEGION NETWORK(LGX)は、ドバイ発のWeb3.0プロジェクトが発行する暗号資産です。ウォレット・NFTマーケットプレイス・Play to Earn・Learn to Earn・Watch to Earn・Share to Earnのサービスを一つにまとめたスーパーアプリを開発しました。
上記の専用アプリをダウンロードし、個人情報を登録することでLGXを受け取ることができるエアドロップを開催中です。
エアドロップは、プロジェクト自体やプロジェクトが発行するトークンの知名度を向上させるマーケティング戦略として、成功例が多数存在します。
大きな利益を生み出す可能性を秘めている暗号資産やトークンですから、積極的に色々なエアドロップのイベントに参加すると大当たりする確率は高まります。
一方で、プロジェクトのなかには詐欺も存在しますので、きちんと企業やプロジェクトの概要をリサーチして取捨選択することが重要です。